住民税の非課税限度額について

 今年も、年末になりました。

 年末は、多忙な日々でした。

 夜遅くまでの仕事も多く、子供達には迷惑をかけました。

 

 最近我が家では、蜘蛛の糸の童話が人気です。

 カンダタが生前に蜘蛛を踏まなかったことで、地獄から蜘蛛の糸で助けてもらえそうになる話です。

 話が終わった後に、

 息子が「僕なら、後から登ってきた人たちに『一緒に登ろう!』っていうね」と言い出しました。

 「糸が切れるんじゃない?」と聞くと「切れてもいい!正しいことをしなくちゃあ。」とのことでした。

 正義感が強いのね。と思いつつ、自分は小さい頃どんな風に思っていただろうかと思い返しました。

 もう思い出せませんが、息子と同じようなことを思っていたらいいなと感じました。

 

 さて、本題ですが、先日、お客様のところで市民税の課税通知をながめていたら、変なことに気が付きました。

 

 課税所得 が200万円という課税通知で、住民税の税率は一律10%なので、住民税額は20万円となるはずですが、住民税額は0円との記載。

 なぜか?

 せっかくなので、調べてみました。

 

 調べた結果、次のような特例の存在を知りました。

 「子供の多い人は、住民税の所得割が課されないことがある。」

 

 福岡市の場合は(福岡市HPより)

 

 前年中の総所得金額等の合計額が次の算式で求めた額以下の方は住民税の所得割が非課税となります。

〇控除対象配偶者および扶養親族がいない方

 35万円

〇控除対象配偶者または扶養親族がある方

 35万円*(控除対象配偶者+扶養親族数+本人)+32万円

 

つまり、

子供3人家族で共稼ぎの場合、172万円までの所得にかかる住民税17万円は非課税に

子供4人家族で共稼ぎの場合、207万円までの所得にかかる住民税21万円は非課税になります。

この額を1円でも超過すると、いきなり多額な住民税が課税されます。

 

この制度の特徴として、世帯の合算所得は意識していない点があげられます。

 

例えば、夫に1億円の所得があっても、妻は、この特例の適用が可能です。

すなわち、夫は高所得者でも、妻に16歳未満の扶養をつけることで妻の住民税は非課税になります。

16歳未満の扶養は、所得税も住民税も所得控除の対象にはなりませんが、住民税の非課税計算の基礎にはなっています。夫婦いずれにつけるかは慎重な判断が必要だと感じました。 

 

なお、手続きは、「所得税確定申告書の16歳未満扶養欄に適切に子供の名前を記入するか、住民税の申告書を市役所に提出するだけ」です。

 

 

確定申告書を作成する際に、16歳未満の扶養なんて、控除対象にもならないのに何故記入しなければならないのだろうか?と疑問に思っていましたが、このような意味があったとは・・・。

今後は、非課税限度額も意識して扶養対象者を選択したいと考えるようになりました。

 

追記

 小学校の就学援助や保育園の保育料等は、夫婦合算の市民税額を基準に適用が変わってきます。

 夫婦いずれかの住民税額が0円になったら、もしかしたら、就学援助が受けられるようになったり、保育料が減額されたりするかもしれませんね。

 

執筆:公認会計士・米国公認会計士・税理士 金田充弘