死因贈与契約が有効な場合

最近、めまぐるしく時が過ぎていきます。

忙しい・・・そろそろ、人手が不足してきた感もあります。

いかんいかん、がんばります。

 

さて、本日は、特殊な遺言の形態である死因贈与契約について書きます。

 

 

 

〇遺言書と死因贈与契約の違い

 

遺言は、被相続人が一人で「○○さんに、土地を相続させる」といった内容の文章を残すことで成立します。

 

一方の死因贈与契約は、被相続人ともらう方が(贈与者と受贈者が)「あなたに土地をあげます。」「ありがとうございます。いただきます。」と二人で契約書をつくります。

 

このように、作成方法が少し異なります。

 

 

 

〇死因贈与契約の有用性

 

遺言の効力は、「遺言者が死亡した時に発生します」

 

死因贈与契約も基本的には、同様ですが、死因贈与契約にはちょっと変わった記載を加えることができます。

例えば、

「私が死ぬまで、私の面倒をみてね・・・」

とか

「私が死ぬまで、私の預金や証券口座を管理してね・・・」

といった現在の負担をつけることができます。

 

結果、死因贈与契約書では、「現在のための約束」を交わす機能を持たせられます。

 

遺言にも、負担をつけることはできますが、あくまでも、遺言者死亡後の将来の負担です。

(また、負担付の遺贈を受けるか否か、受ける側には選択する権利があります。)

 

このように、死因贈与契約書には、現在の負担をつけられるという面でメリットがあるように思います。

 

また、負担の大きさにもよりますが、負担の履行後は、死因贈与契約の撤回は難しくなると考えられています。

 

 

 

〇死因贈与契約の有用性2

 

また、私の個人的な意見ですが、死因贈与契約の有用性は、「あげる側・もらう側」がしっかり合意できる点にあると思います。

 

私は、「遺言書の作成の前には、できれば親族会議をしてほしい。その結果を受けて、親族全員が納得の上で、遺言書を書いてほしい。」とお願いしております。

 

私のお客様の場合、事業承継関連であることが多く、親族の合意は必要不可欠です。

 

遺言書の場合、この親族の合意は、記録に残しにくいです。

 

一方で、死因贈与契約であれば、あげる側、もらう側が、いずれも契約書作成に参加でき、サインもできます。

さらに、活字で、かつ、私文書で契約書作成も可能です。(公正証書にすることももちろん可能です。)

 

私としては、この「もらう側の参加」が親族の争族を回避できる大きな要因になるのでは?と考えています。

 

受贈者として、契約作成に参加してもらえば、いざという時の心づもりもできます。

 

 

 

☆税務上の少々の弱点

 

土地建物の登録免許税が少々あがります。

 

また、負担がそれなりに大きい場合には、土地建物の負担付死因贈与を行うと、被相続人の譲渡所得の準確定申告が必要になると考えられています。APと銀行借り入れをワンセットにして死因贈与する場合には、特にご注意を!

 

 

 

~本日の結論~

親族の合意の結果として、親族参加型で遺言を残したいのであれば、死因贈与契約がお勧めです。

 

 

執筆 公認会計士・米国公認会計士・税理士 金田充弘