お子様の将来の生活費を確保しておきたい・・・障害や病気を抱えられたお子様の親御様へ

本日は、稲刈り休みの土曜日で、下関には戻らず、油山モーモーランドへ行きました。

福岡市(後ろの方)と放牧地のギャップがすごいです。

私の顧問先様には、牛農家様が比較的多いので、何の餌を食べているか???等、獣医の妻と協議をしながら・・・・過ごしました。

ぜんぜん、休んでないですね。

 

さて、本日は、「ご家族の将来の生活に不安がある方」向けの記事を書きたいと思います。

 

 質問

私の娘は、交通事故で下半身不随になりました。今は、就労できず、障害年金を受給しています。

娘の将来を案じた私たちは、娘に将来の生活費を残すことにしました。

2000万円を月額10万円*200か月分という認識で贈与し、使ってもらいたいと思います。

いざ、実行と思ったときに、一つの問題にぶつかりました。

「娘が、月10万円という約束を守るでしょうか?」

娘がお金を浪費しないようにする工夫はできませんか?

 

回答

預金に管理者(受託者)をつけることをお勧めします。

 

①管理者(受託者)と信託契約を結びます。

※信託契約とは、娘様のためにお金を管理してもらう契約をいいます。

②信託契約に基づき、管理者(受託者)が預金通帳を作成します。

③皆さんが、信託契約に基づき、預金通帳にお金を入金します。

④管理者は、娘様に定額でお金を送金し続けます。

⑤娘様が、お金の全てを使い切らずに他界した場合には、娘様の相続人に預金が移転します。

  

管理者が定められていれば、お金の浪費は難しくなります。

 

問題は、この管理者(受託者)を誰にすべきか?という点にあります。

 

3パターン考えられます。

①信託銀行に頼む

②生命保険会社に頼む(プルデンシャル生命・第一生命・ソニー生命の関東エリアが対応可能)

③家族に頼む

 

最も大きな違いは、コストです。

①は、当初契約料が預託財産の3%、ランニングコストとして、月額1万円がかかります。

※特定贈与信託(障害者限定)では、月額1万円が0円になります。

②は、当初契約料が5000円~50000円、生命保険金を預託した時点で、生命保険金の2%、ランニングコストとして、年額2万円がかかります。

③は、当初契約料が預託財産の1%(最低報酬が30万円~50万円)、ランニングコストとしては、親族に対する報酬数万円=管理してくれる親族の心意気次第となります。

(親族への報酬は、無償でもよいのでは?とも思います。預金通帳を作成し、自動送金を設定してしまえば、後は、特にすることはないからです。ただ、親族に預けたお金が「不正に使用される恐れ」もありますので、多少の報酬を差し上げて、親族の心に蓋をするという考え方もあります。)

 

その他の注意点としては、

贈与税がかからないように工夫すること、

臨時的に大きな出金が必要となった時に対応できるようにしておくことという論点があります。

 

贈与税については、障害者であれば、特定贈与信託の活用をお勧めします。

3000~6000万円までの信託設定は非課税となります。

それ以外の方でも、種々の工夫で贈与税の問題はクリアできると考えています。

 

臨時的に大きな出金があることに備える点については、課題が残ります。

①~③いずれでも、臨時的な出金に対応が可能です。

娘様が大病し、大きな支出が生じた場合でも、必要に応じて出金が可能です。

ただ、問題は、臨時的な出金の中身です。

臨時的な出金が、病気や入金・介護・学術費用等で発生するのであれば、支出に異論はないでしょう。

では、高級バックの購入だったらどうでしょう?

 

支出の中身次第では、反対し、必要費だと判断した際には、賛成するという相談相手が必要です。

こんな時は、信託契約に受益者代理人を設定しておくことをお勧めします。

娘様だけで、入出金ができないようにコントロールし、時に、娘様をいさめてくれる代理人を設定しておけば、臨時出金が適正な出金か否か、娘様と一緒に考えてくれるものと思います。

(もちろん、管理者=受託者も一緒にいさめてくれると思いますが、法的には管理者=受託者の力は弱いため・・・。)

②では、この受益者代理人がおけない可能性があります。デメリットと言えるでしょう。

 

私は、どちらかといえば、③の家族で信託する方法を提案してきましたが、最近は、コストがかかっても①②の専門家を利用した信託の方が優れているのではないか?と考えを改めています。

 

親族に必要以上の負担をかけないということも、お金の意味のひとつなのでしょうから。

 

もしよろしかったら、ご参考ください。

 

本日の結論

手数料負担がかかっても、信託銀行や保険会社といった専門家を利用する!

結果的に親族への負担がかからない可能性がある。

 

執筆:公認会計士・米国公認会計士・税理士 金田充弘