譲渡所得・居住用の3000万円控除と市県民税・国保料・介護保険料

幼稚園児たちがお弁当が必要とのことで、朝早く起きて作りました。

 

昨夜は、「明日は、朝起きたら弁当作ろうね!」といって夜8時にはご就寝。

「リンゴを入れるか、バナナを入れるかは明日の朝決めようね」と寝言を言いながら寝ていきました。

喜んでくれるでしょうか?

 

さて、本題です。

 

Q 譲渡所得の居住用3000万円の控除を使うと・・・税負担は一切増えませんか?

 

A いいえ、増える場合も考えられます。

 

自宅を売却した際に使用できる譲渡所得の特例=居住用家屋の3000万円控除について、これを使用しておけば自宅の譲渡にともなう所得(利益)が3000万円以下であれば税負担は一切増えないという感覚になるのですが、必ずしもそうではありません。

(もちろん、条件によってはまったく税負担が増えない方もいらっしゃいます。)

 

次のような方はご注意を!

①国民年金しかもらっていない。もしくは課税されない程度の年金しか受け取っていない

②その他に所得はない

③国民健康保険に加入し、毎年、一部免除を受けて均等割を支払っている。

 

このような方は、3000万円控除を使用しても税負担が増加する可能性があります。

 

まず、市県民税ですが

市民税の均等割の非課税限度額は合計所得で判定します。

この控除は、課税所得を3000万円下げる効果はありますが、合計所得を下げる効果はありませんので、市県民税の均等割が譲渡年の翌年だけは発生してしまう可能性があります。

 

次に介護保険料ですが、65歳以上の方の介護保険料は市民税が課税か非課税かで保険料額が大きく変わってきます。

結果、市民税の均等割が課税されるということは、介護保険料も増額されてしまう可能性があるのです。

(ただし、所得に比例して増える保険料部分は3000万円を考慮してくれますのでご安心を。)

 

最後に国民健康保険料ですが、この控除は、課税所得を3000万円下げる効果はありますが、均等割の減免対象となる所得を下げる効果はありませんので、結果、国民健康保険料(均等割部分)の一部免除の特例を受けられなくなる可能性があります。

ただし、所得割部分では3000万円控除は適用されますのでご安心を。

 

そして、誰かの所得税の扶養に入っていらっしゃる方はご注意を。

合計所得が48万円以下という条件を満たせませんので、譲渡を行った年だけ、扶養に入れなくなってしまいます。

社会保険の扶養には影響はありませんのでご安心を。

 

また、配偶者控除・基礎控除の金額自体が減退する可能性もあります。

 

最近、税制分かりにくくなってきましたね。

 

以上です。

 

 

執筆 公認会計士・米国公認会計士・税理士 金田 充弘