LINEペイで自動車税を納税~レジ締めコストを考える~

今日は久しぶりに事務所にいます。

しかし、のんびりはできません。

早く提案書をつくらねば。

 

そう思った矢先に、自動車税の納付書が・・・。

銀行に行くのは時間がかかる。

 

よく読むとLINEpayで払える!

 

すぐにipadを起動して、銀行から手数料無料で現金をチャージ、バーコードを読み取って、10秒で支払終了となりました。

速い。素晴らしい。

 

自分は、以前から、squareのクレジットカード決済システムを使って、私の報酬を決済させてもらっております。

 

「目の前で、確実に、時間がかからず、決済が終えられる。貸倒しない。」素晴らしいです。

私達の業界では「報酬をいただきに行くだけで再度訪問する。」とうことも、多々あります。

これもまた、営業とは思いますが、時間のロスとは紙一重です。

 

 

監査法人勤務時代に、現金管理にコストがかかるということを感じることが多々ありました。

 

例えば、

 

スーパーであれば多額の現金を管理する必要があります。

最近は、現金を触らずに済むレジも増えているように思いますが、数年前までは、

 

①店長が準備した「定額が入っているキャッシュボックス」をレジ担当者がレジに装着

②レジ打ち

③レジ担当者が変わるごとにキャッシュボックスを交換

④レジ担当者は自分が使ったキャッシュボックスをバックオフィスで事務担当者と現金計測

⑤レジペーパーと差異がないことを確認

⑥売上金を売上金袋に入れ、キャッシュボックスを定額に戻す

⑦事務担当者は、1日に1度は、売上現金を送金ケースにまとめ

⑧現金輸送係が現金を銀行に持っていく

(多くの場合、1店舗に1通帳あり、通帳に売上金を入金)

⑨本社は1日に1度は、通帳記帳し、帳簿に売上記帳

⑩理想を言えば、1日に1回は、釣銭用現金(金庫内の現金ロール、札束)も現金残高確認

 

この過程の中で、横領・盗難・紛失のリスクが伴いますし、毎日の現金残高のチェックも複数人で行う必要があります。また、現金を銀行に持っていくための費用もリスクもかかります。

 

多くの場合、1店舗に1通帳、通帳管理も大変です。500個くらいの通帳を保有している大手企業はざらにあります。

 

飲食店では、近くのコンビニATMに売上金を入金しに行くチェーン店も多いです。

コンビニ付近で盗難にあったという話も、1年に1回くらいは聞いた気がします。

現金を持たなくて済むのであれば、それにこしたことはないでしょう。

 

例えば、

飲食店の店長さんが1日1回現金締めをするとして、

店長の現金締めを他の者がチェックし、

その後、コンビニにお金を入金しに行くとします。

 

店長の現金締めに必要な時間30分

他の者が現金締めが正しいことを検証する時間10分

コンビニに行く往復時間30分

3日に1回、現金が合わない時に、理由を考える時間30分

平均30分+10分+30分+30分÷3日=80分

サラリーマン平均給与480万円*社会保険料率1.14÷220日÷8時間=3,109円

時間給3,109円*80分÷60分=4,145円

1日あたりのレジ締めコスト4,145円

*365日=1,512,925円

 

1店舗当たりのレジ締めコスト、年間151万円となります。

目に見えないコストは恐ろしいです。

 

キャッシュレス化は、生産性を大きくあげるという理由も理解できる気がします。

 

ちなみに151万円÷0.04(クレジットカード会社の手数料)=3775万円

概ね、年間売り上げに匹敵します。

 

ということは、全額キャッシュレスにできれば、レジ締めコストは現状とほぼ変わらないのかもしれません。

 

問題は、両方が混在している期間です。

 

みなさん!積極的にキャッシュレス化して、生産性を高めていきましょう!

 

追記

中小企業では、上記現金回収を事業主自らが行えば、上記の151万円は事業主の所得になります。

人を雇っていれば、コストですが、事業主自らが行えば所得。

中小企業は難しいです。

 

ある農家さんで、米を刈り取るコンバインを買ったら、作業時間が4分の3になったそうです。

その分、家族との余暇は増えましたが、所得は、減価償却費相当額分だけ低下したそうです。

 

投資は、人件費を減価償却費や手数料に置き換えるという側面があります。

個人事業というミニマムサイズの事業規模では、投資は、一時的には事業主所得を減らすという側面があります。

投資に躊躇する気持ちも、何となく理解できるような気もします。

 

執筆:公認会計士・米国公認会計士・税理士 金田充弘