小規模企業共済の死亡時の受取人と承継通算1

今日は、台風一過良い天気となりました。

昨日は、きれいな虹がみれました。

娘が、きれいだねえ・・・と言っていました。

娘はお遊戯会でおやゆび姫ををするそうです。

 

さて、本題です。

 

質問

小規模企業共済に加入しています。

仮に、私が当該共済金を受給前に死亡してしまった場合、だれが共済金を受け取ることになりますか?

 

回答

共済金の受取人ですが、

①まずは、配偶者様が受取人になります。これは、事実婚の方を含みます。

②次に、共済契約者の収入によって生計を維持されていた方が受け取ります。

 

小規模企業共済にTELして聞いてみたところ、

生計を維持されていた方とは、

「所得税の扶養に入っていた方(申告書で確認されます。)」

「社会保険の健康保険証で被扶養者に該当している方(保険証で確認されます。)」

を言うとのことです。

 

該当する方が複数いらっしゃる場合は、子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹の順で受取人が決まります。

 

③ ①にも②にも該当する方がいらっしゃらない場合は、子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹の順で受取人が決まります。

 

②③で同順位の方が複数いる場合には、均等に受け取る権利が生じます。

 

★小規模企業共済の受取人に関する問題点★

共済系の保険の多くに内在する問題点として「受取人が指定できない」ことがあげられます。

約款の中、もしくは、法律で、受取人が指定されているからです。

 

つまり、特定の相続人に共済金を渡したければ、法律に定められた要件に相続人を合致させておく必要があります。

(逆に、夫や父母の小規模企業共済の共済金を受け取りたければ、自分自身を「法律に定められた要件に積極的に合致させる」必要があります。)

 

★事業承継時の課題、小規模企業共済の共済金は後継者が受け取りにくい?★

小規模企業共済の勧誘の際に「小規模企業共済の過去の掛け金は、いざという時の事業資金として借りられるお金」=「小規模共済掛金=運転資金」と説明を受けられた方も多いと思います。

そして、実際に小規模企業共済から事業融資を受けている方は多数いらっしゃると思います。

 

事業の資金繰りという観点で、父から事業承継は受けたが、小規模企業共済が引き継げなかった・・・・というのでは、資金繰りに窮し、事業継続自体も難しくなるかもしれません。

 

具体例で考えましょう。

例えば、父から給与をもらっている専従者で、父からも従業員からも後継者と認められている者がいるとします。

父は、小規模企業共済に加入しています。

父は、早くに妻を亡くしていますが、内縁の妻がおり、かつ、働かないで同居している娘がいると仮定します。

 

すると、小規模企業共済の第1順位は、内縁の妻ということになるでしょう。

次は、第2順位で働いていない妹。

後継者は、第3順位で、かつ、事業とは無関係な他の兄弟姉妹と同等の地位しか持ちません。

 

事業資金として引き継ぐべき小規模企業共済は「ほぼ100%もらえない」ということになるのでしょう。

 

小規模企業共済の受取人・・・とても難しい課題です。解決策は、また後日。

 

 

~本日の結論~

所得税対策・相続税対策で小規模企業共済を使うときは、受取人対策を忘れずに。

特に、事業承継対策では、共済金が後継者のもとに届かなかったというリスクを考慮しましょう。

 

執筆:公認会計士・米国公認会計士・税理士 金田 充弘

 

 

(遺族の範囲及び順位)

第十条 第九条第一項に規定する共済金の支給を受けるべき遺族は、次の各号に掲げる者とする。

一 配偶者(届出をしていないが、共済契約者の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつたものを含む。)

二 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で共済契約者の死亡の当時主としてその収入によつて生計を維持していたもの

三 前号に掲げる者のほか、共済契約者の死亡の当時主としてその収入によつて生計を維持していた親族

四 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第二号に該当しないもの

五 孫の子及び兄弟姉妹の子のうち第三号に該当しないもの

2 共済金の支給を受けるべき遺族の順位は、前項各号の順位により、同項第二号、第四号及び第五号に掲げる者のうちにあつては当該各号に掲げる順位による。この場合において、父母については養父母、実父母の順とし、祖父母については養父母の養父母、養父母の実父母、実父母の養父母、実父母の実父母の順とする。

3 前項の規定により共済金の支給を受けるべき遺族に同順位者が二人以上あるときは、共済金は、その人数によつて等分して支給する。